Jリーグ優勝のオーストラリア人監督に学ぶ「信念」の大切さ
今季、Jリーグで優勝した横浜F・マリノスの監督はオーストラリア人です。
名前はアンジ・ポステコグルー。
元オーストラリア代表監督で、昨シーズンからマリノスを率いていました。
マリノスはたくさんの有名選手を輩出し、リーグ優勝は3度の名門クラブでしたが、長らく低迷し、15年間も優勝から遠のいていました。
そのマリノスが今季4度目となるリーグ優勝を成し遂げましたが、名門復活の立役者はアンジ監督です。
アンジ監督が就任した昨シーズンから今シーズン途中まで、多くの主力選手がクラブを去っていきました。スタメンの入れ替わりが激しくなる中でも、うまく戦力を補強し、アンジ監督が掲げるサッカーを信念を持って継続した結果、マリノスはチャンピオンとなったのです。
アンジ監督は揺るぎない「信念」を持った監督です。
昨年は降格の危機にも直面しましたが、それでも自身のサッカースタイルを捨てませんでした。多くの批判に耐え、今季は一転して優勝争いを繰り広げ、Jリーグ王者となりました。
アンジ監督のように、「信念」を持つことは非常な大切なことです。
なぜなら、信念がその人の思考や感情、言葉や行動に大きな影響を与えるからです。
また、ひいては選手やサポーター(応援してくれる人)にも影響を与えます。実際に彼のサッカーは多くの人を魅了し、優勝を決める試合となった最終節にはJリーグ戦史上最多となる6万3千人の人々がスタンドに足を運びました。
アンジ監督が就任する前、マリノスの社長は時期監督候補を10人に絞り、その一人一人と直接面談しました。
社長がアンジ監督を任命する要因となったのは、やはり彼の強い信念でした。
他の監督候補たちは、自分自身の待遇やクラブの環境などに関して質問する中、アンジ監督はそれらを一切せず、「優勝を目指しますか?」と社長に問うたそうです。
このアンジ監督の姿勢に私自身も多くを学ばさせられます。
サッカーコーチとして
「何のためにコーチをしているのか」
「自分は一体何を目指しているのか」
を明確にすることはとても大切です。
そこから信念が生まれるからです。
そして、その信念が良い時も悪い時も自分自身に良いものを与え続けてくれます。
具体的には、
良い思考、
良い感情、
良い言葉、
良い行動を。
悲しいことに、このような根本的、哲学的なことは、 多くのコーチがあまり重要視してないように思われます。
「大きな目標」を掲げることはみんなしますが、
「なぜ、あなたはコーチをしてるのですか?」
という質問に答えられないのです。
自分自身が選手として目標を掲げて努力してきた元選手の現監督にとって、
「なぜ」と問う前に、「大きな目標」を掲げることは'良い'こと、ある意味'当たり前'のこととされています。
監督として、
「大会で優勝する」
「プロ選手を輩出する」
「クラブを大きくする」
という目標を掲げていても、結局はそれは自分自身の満足に由来するものであり、「一体なぜそのような目標を掲げてるのですか?」と問われても、きちんと答えられないのです。
そのように考えると、監督は「愛の人」でなければならないと思わされます。
あくまで選手が主役であり、監督は脇役です。
「コーチ」という言葉の語源が馬車であるように、コーチは選手を選手の目的地に導く役割を担った存在です。決して、自分自身の目的地まで選手たちによって運んでもらうような存在ではなりません。つまり、選手を'使って'、自分自身の目標を叶えることを優先したり、自分自身の満足を何よりも得ようとしてはいけません。
「愛」とは、他者の益となる事を行う事です。
今、目の前にいる子どものために、自分自身に何が出来るのかを考えることから、愛の行い(良い指導)が生まれます。
コーチが持つべき信念も、愛に根差したものであることが求められるでしょう。