日本サッカー界の至宝を育てた子育て術⑵ コーチ任せにしない
優れた運動神経やスポーツスキルを得るためには「プレ・ゴールデンエイジ」と呼ばれる、3歳から8歳ぐらいまでの期間の運動・スポーツ経験がとても重要になります。
この神経系が著しく発達する時期の過ごし方によって、その後、運動やスポーツがどれぐらい上達するか、そのピークレベルが決まると思います。
久保建英選手の場合、まさしくこの「プレ・ゴールデンエイジ」における運動・サッカー経験の量と質が突出しています。
そしてそれは、サッカーレッスンやクラブのおかげではなく、彼のお父さんのおかげです。
日本サッカー界の至宝を育てた子育て術⑵ は
コーチ任せにしない です。
久保建英選手の父、久保建史(たけふみ)さんは著書『おれ、バルサに入る!』の中で、久保選手をどのように育てたのかを明かしています。
建史さんは、久保選手が小さい頃からたくさん外で遊んであげたそうです。
ほぼ毎日(1年のうち350日以上も!)、自宅近くの公園で一緒にボールを蹴ってあげてたとか。サラリーマンとしての仕事があり、忙しい日々を過ごしてる中でも、朝だけは早起きして、息子とサッカーをしていたそうです。
建史さんは子育てを始めた頃に「自分が親として何をしてやれるかを考え、サッカーなら親子一緒に楽しめるかもしれない」と考えたことがきっかけで、子どもとサッカーをするようになったそうです。自身が高校、大学とサッカーをプレーし、指導経験もあったそうで、サッカーを通してより我が子に貢献し、親子で良い時間を過ごせると思ったのでしょう。
プレ・ゴールデンエイジの時期に、つまり、子どもの幼少期に、ほぼ毎日スポーツを一緒にやってあげられるのは、間違いなく親でしょう。コーチではかなり頑張っても200日(週4日)ぐらいではないでしょうか。
久保選手は才能があったからプロ選手になれたのではなく、運動神経を磨く大切な時期にお父さんがほぼ毎日一緒にボールで遊んであげたから、プロ選手になる可能性を持つことができたのです。そして、その後本人の努力、また、両親だけでなく彼に関わったコーチたちの助けなどがあってプロ選手になれました。
野球のイチロー選手も、少年時代にお父さんが熱心にイチロー選手の野球の練習に付き合ってあげていました。イチロー選手が小学校時代に加入していたスポーツ少年団は週1回しか練習がなかったため、それ以外の日はお父さんがイチロー選手と一緒に練習をしてあげてたそうです。
久保選手とイチロー選手の例を見ても、特に幼少期はコーチの存在よりも、親の存在が大きいことが分かります。親が積極的に子どもと一緒に外遊びをしてあげたり、熱心にスポーツの練習に付き合ってあげたりすることは、子どもの将来を広げることに繋がります。
もちろん、スポーツ経験がなかったり、忙しくしている保護者の方々には、久保選手やイチロー選手のお父さんのように子どもに付き合うのは到底無理だと感じられるでしょう。
必ずしも一緒にスポーツができなかったとしても、工夫次第で色々な刺激を子どもが得るようにすることもできると思います。
例えば...
・公園に積極的に連れて行く。
・一緒に散歩、または、ランニングをする。
・色々な公園に連れて行き、色々な遊具で遊ばせる。
・お友達と外で遊ぶ機会を積極的につくってあげる。
・スポーツ用品を買ってあげる。※1
・一緒にスポーツのテレビを観る。
などなど
※1 イチロー選手は、3歳の頃にお父さんにおもちゃのバットとボールを買ってあげたそうで、それ以来、イチロー選手は野球が大好きになったそうです。
私のレッスンでは、保護者の方も一緒にレッスンに参加し、子どもとスポーツを楽しむことがあります。子どもが親と一緒にスポーツできるのは、子どもにとっては特別楽しい時間になりますし、保護者の方にとっても子どもとスポーツを日常的に楽しむ大切さを体感する時間になることがあります。
あるお父さんは、サッカーは全くの初心者でしたが、子どもがサッカーを始めてから、一緒にサッカーを楽しむようになりました。自宅でも、積極的にサッカーを一緒に練習してあげてるみたいです。
もちろん、限られた時間しか子どもの外遊びやスポーツの練習に付き合ってあげる事はできませんが、その限られた時間を、より積極的に、また、より熱心に、子どものために過ごすことは、必ず子どもの将来に良い影響があると思います。