どこまでスポーツを頑張らせるべき?
今週は雨のため、一度もレッスンを行うことができませんでした。
オーストラリアの天候はコロコロ変わるため、また、天気予報が外れることもあるため、実施か中止かの判断に迷うことが多いです。
レッスンを行うかどうかは、天候もそうですが、最も考慮する点は、その子にとってレッスンを行う事が’益’となるかどうかです。
というのも、サッカーは基本的に雨で試合が中止になることはありません。中止になるとすれば風か雷です。なので、私が中止にした日でも、本当はサッカーができる日がほとんどです。
それでも私は小雨で中止にすることがあります。競技スポーツの世界で生きてるコーチからすれば、「これぐらいの雨でも中止にするのか」と疑問に思われるでしょう。
特に日本の場合は、「頑張る」ことに価値があるという観念のもとに「(とにかく)頑張らせる」こと、「努力させる」ことに主眼を置くコーチが多いです。天候に関わらず毎日"練習をする"事にこそ価値があると考えています。
今でもスポーツの世界における体罰等が問題になる事がありますが、日本の根性主義は、日本にどのようにスポーツが伝えられ、それがどのように広まったかに由来します。長い話を省けば、日本ではスポーツが軍事や教育のために用いられてきた背景があるため、スポーツを手段とし、スポーツを用いて、人間を鍛えたり、教育したりするという考え方がスポーツの世界の根底にあります。
なので、スポーツそのものを「楽しむ」ことよりも、スポーツを通して「頑張ること」「努力すること」「目標達成に励むこと」を学ぶことを選手に求めるのです。もちろんそれらも良いことだと思いますが、過剰過ぎたり、指導者の自己満足になっていたり、スポーツの本質である「喜び」が失われていたりするならば、子どもの益にはならないと思います。
特に、教育現場(学校)のもとで活動される部活動は、スポーツの本質が失われてる場合がほとんどです。先日も日本の番組で部活動の様子が取り上げられていましたが、まるで軍隊かのように見え、悲しい思いにさせられました。
小学校までは、楽しんで、喜んで、主体的に、自由にプレーしてた子どもたちの顔から笑顔が消え、まるで仕事をしてるかのように黙々と声を出し、練習に励んでいます。
もちろん、私が教える生徒には、このような形でスポーツに取り組んでほしくありません。私は基本的にいつも、生徒が楽しんでるか、また、レッスンを行うかどうかを判断するときも、レッスンを楽しめるか、また、レッスンをすることが本人の益になるかどうかを考慮します。
雨が降ってるかどうかだけでなく、気温や風、芝生のコンディション等を考慮した上で、レッスン生が楽しめそうであれば、レッスンを行うことにします。
また、競技スポーツを行なってる選手には、悪天候でも本人の益になるのであれば、また、本人自身がレッスンを求めているのであれば、レッスンを行います。
いずれにしろ、特にスポーツを始めたばかりで、本格的に取り組んでいない子たちには、"楽しいスポーツ体験"を積み重ねてもらうことが重要です。彼らはスポーツのスキルを身につけると同時に、スポーツが楽しいものであることを学んでもらいたいです。
日本で部活動、または、競技スポーツに取り組んでこられた保護者の方々には特に、まだスポーツを始めたばかりのお子さまに、「頑張らせる」ことよりも「楽しんでもらう」ことを一緒に大切にしてもらいたいです。そして、お子さんが生涯、"楽しいスポーツ"を自主的にプレーし続け、喜びと健康を得ながら歩んでいってほしいです。