「具体的な言葉」でないと子どもには伝わらない
私は日本で高校生をメインに教えていました。
その時はよく「集中してやろう」と声がけしていました。
先日の6歳児に対するレッスンの際にも同じ言葉がけをしました。単調な反復練習だったり、ミスを防ぐためのコツを身につけさせたりするときに「集中して」と声をかけたのです。
そのような言葉はほとんど無意識に出てくるのですが、言い終わってから「これじゃあんまり伝わらないな」と思わされ、「ボールをよく見て」「足首をしっかり開いて」と言い直しました。
「集中する」では、考える能力がまだ未熟な子どもにはきちんと伝わりません。
なので、幼児や小学生を指導する時は、分かり易い言葉を使うことが大切です。コーチには何を集中するのか分かっていても、それが言語化されなければ相手には伝わりません。
コミュニケーションは受け手がどのように受け取ったかで決まります。
先日も家族で食事をしている最中に、私が3歳の息子に「ちゃんと食べなさい」と注意しました。何度かそのように注意してから、妻が「ちゃんとってのは、遊ばないで食べるってことだよ」と息子に伝えていました。
そこでも「あ、またやっちゃった」と思わされました。
息子には「ちゃんと」じゃ伝わらなかったのです。
曖昧な言葉ではなく、具体的な言葉にしないと、子どもには伝わりません。
サッカー指導において、具体的な言葉によってしっかりとコーチの言葉がプレーヤーに届けば、その技術は改善します。子育てにおいても、同じですね。でも、コミュニケーションが通じないと、お互いストレスを溜めてしまいますし、良い結果が得られません。
注意しないと無意識に大人の言葉を使ってしまうので、注意して子どもに伝わる言葉を使っていかないといけませんね。
運動不足解消を助けてくれる仲間
コロナウイルスでしばらくお休みしていた子どもが、レッスンに戻ってきた際、「どれぐらい運動(もしくはサッカー)してた?」と聞きました。
ほとんど運動してなかったと思って聞いてみたら、彼は「A lot(たくさん)」と答えました。
一瞬、頭にはてなマークが付き、「どうやって運動してたの?」と再度聞きました。
彼は「お父さんと庭でサッカーしてた」と言いました。
学校でも行けず、友達とも遊べない。それでも、彼には一緒に、たくさんサッカーをしてくれる"お父さん"という強力な助け手がいました。
「一緒に運動しよう!」「一緒にスポーツをしよう!」と言ってくれる存在がいるかいないかは、子どもの運動習慣や運動神経、スポーツスキルを養う上でとても大切なことです。
私の父は、あまり運動好きな人ではありませんでしたが、たまに一緒に公園に行ってサッカーをしてくれました。父以上に、私をサッカーに誘ってくれたのは、兄でした。私よりも早くサッカーを始めた兄は、サッカーが大好きで、毎日のように一緒にサッカーをしてました。兄の友達にも、私の友達にも、サッカー好きがたくさんいて、自分から誘ったり、相手から誘われたりして、近くの公園に集まって(たまに家の中でも!)いつもボールを蹴ってました。
自分一人では、あそこまでサッカーに熱中することはできませんでした。
サッカーが部活動になってからは、辛くて辞めたいと思ったこともありましたが、仲間がいたから続けることができました。
自分の運動やスポーツを、身近にいる人が励ましたり、助けたり、一緒に取り組んだりしてくれるのなら、その子供はとても幸せでしょう。
そして、それは大人になってからも同じです。
自宅にいることが多くなり、運動不足になってから、私と妻は一緒に運動するようになりました。
トレーニングアプリを使った15分ぐらいの家の中でできる運動、体操、ストレッチですが、運動不足解消に役立ってます。
私がやる気がない時は、妻の方から「今日もやろうよ!」と誘ってくれます。
二人で並んで、スマフォを見ながら体操をするのは、とても不思議な気分ですが、一人でやるよりも、圧倒的に楽しく、充実感があります。
何をするにも、仲間がいるのは良いですね。みなさんのお子さんにも、一緒に体を動かして遊ぶ、または、スポーツに取り組む仲間が与えられますように。
子どもの頃に鍛えると良い「空間認知能力」
スペイン2部でプレーする岡崎慎司選手は、身長が170㎝と小柄ですが、ヘディングが得意です。
先日もヘディングで2得点を決めました。
もちろん、ヘディングは背が高い人が有利です。
しかし、身長が全てではありません
「空間認知能力」を高め、ボールの落下地点、軌道、高さなどを読む能力を高めることができれば、自分よりも背の高い相手にも勝つことができるようになります。
その空間認知能力は、小さい頃に鍛えた方が良い能力の一つです。
最初は風船やゴムボールなど、当たっても痛くない状態からスタートし、恐怖心を植え付けないように配慮しながら鍛えることが良いでしょう。
オーストラリアに来てから、フッティをする子供の空間認知能力の高さに驚くことがあります。
ハイボールの落下地点を予想し素早く移動してのボールキャッチ。
イレギュラーにバウンドするボールの軌道を読み、追いかけてのボールキャッチ。
これらは空間認知能力を高めるにはとても良いですね。
3-8才は、運動能力、スポーツスキルの土台を築く大切な時期です。
色々なスポーツを子どもに経験させてあげることで、子供の将来が広がるでしょう。
サッカーともう一つ習い事をさせるなら...
日本では、子どもが複数のスポーツを習うことはあまりありません。
でもオーストラリアでは、スポーツはシーズン制ということもあり、複数のスポーツを習ってる子どもたちが結構います。
サッカーのスキルを磨くために、サッカーに専念することは良いことです。
しかし、他の習い事を組み合わせることで、相乗効果が生まれます。
最近、レッスンに来た女の子は、体操をやっていたため、柔軟性に優れていました。
サッカーでは意外と柔軟性が重要です。
それは、サッカーではボールが浮くことがよくあるからです。
手は使えないため、浮いたボールを足でコントロールしたり、蹴ったりすることがよくあります。
もちろん、頭は使えますが、ヘディングでは強いボールが打つのが難しかったり、横に来たボールには触れないため、サッカー選手にとって股関節の柔軟性は重要です。
プロサッカー選手でも、サッカー以外のスポーツから柔軟性を養い、それを活かしてる選手がいます。
例えば、ACミランに所属するズラタン・イブラヒモビッチ選手です。
彼は4つの国リーグで優勝を経験し、5度の得点王を獲得したストライカーです。
その彼の得点力の要因の一つは柔軟性です。
幼少期からテコンドーを習い、柔軟性があるため、アクロバティックなシュートを打つことができるんです。
そんなサッカーで意外と重要になる柔軟性ですが、基本的に練習ではほとんどトレーニングしません。
ウォーミングアップなどで、ストレッチをすることはあります、
でもそれは柔軟性を養うことを目的としたものではありません。
そのため、サッカーをしてる子どもの中には、たくさん身体が硬い子どもがいます。
なので、サッカー以外にもう一つ習い事をさせるなら、体操や格闘技は良いかもしれません。
いずれにしろ、サッカーとは全く異なることをやった方が、異なる運動能力や身体能力、スキルを身につけることができます。
ちなみに、水泳を習う子どもはたくさんいますが、個人的には、水泳のスキルは他のスポーツにあまり役立たないと思います。
もちろん身体全体の筋力をつけるには良いでしょう。
お子さんが、サッカーともう一つ習い事をできるとすれば、どんな習い事が良いでしょうか?
南野拓実選手から学ぶ小学校年代の練習方法
先日、世界一のクラブとなったイングランドの強豪FCリバプールに移籍した南野拓実選手。
彼の武器はテクニックです。
具体的に言うと、正確なボールコントロール技術です。
決して身体能力に優れているわけではありませんが、持ち前のテクニックで日本代表でもオーストリアリーグでもゴールを決め続けてきました。
彼のその正確なボールコントロール技術は、小学校時代に培われました。
個人技術の向上に特化してることで有名なサッカースクール 、「クーバー・コーチング」に小学校3年生の頃から通い続け、技術を磨いたのです
他にも堂安律選手や中島翔哉選手といった日本代表選手が少年時代にクーバー。コーチングに通っていました。
クーバー・コーチングでは、神経系の発達が著しい小学年代の子どもたちに、技術向上に特化した練習に取り組ませ、基礎から応用まで様々なボールコントロール方法を培うことができるように指導します。
もちろん、技術だけでなく、身につけた技術を試合でどう活かすか、戦術的な要素も含めた指導にその後は発展します。
中学校年代に入ると、個人技術を伸ばすのは非常に難しくなります。
南野選手のように、小学校年代から、きちんと基礎から教えてくれるサッカースクールに通うことは、スキルアップを目指す上でとても大切です。
なんとなくサッカーをさせてるだけでは、自分が出来るプレーしかしません。
なので、新しいスキルを獲得し続けることが出来ません。
そのような子どもは、矯正させられないままでいる変な癖を持っていることが多いです。
何事でも土台が大切です。
サッカー選手の土台の一つは基礎技術です。
小さい頃からサッカーをきちんと習わせることの最大のメリットは、その基礎技術を培うことができることです。
子どもたちが、南野選手のように、小さい頃に基礎技術を身につけることができれば、その後、試合で色々な技術を発揮し、たくさん相手を抜いたり、ゴールを決めたりして、サッカーをたくさん楽しめるようになるでしょう。
子育てに活かせるサッカー指導の原則: 成功体験を植え付ける
息子のトイレトレーニング、1週間が経過。
順調に進んでいます。もう成功率は9割近いのではないでしょうか!
今日も、出先でもきちんとトイレに行ってできたようです。
最初は失敗が多かったのが、今では成功の方が断然多い。
その背景には「成功体験」が彼の頭と心に植え付けられたことが大きなこととしてあると思います。
サッカーの指導でもそうですが、子どもが「成功体験」を積み重ることができるように導くことは大切です。
そして、それだけでなく、成功体験を頭と心に刻み、自信を持ち、前進し続けることができるように励ますことも大切です。
そういう意味で、今回、妻が活躍してくれました。
息子が成功する度に、目一杯褒めて喜んであげ、時にはダンスまでして、彼の成功を一緒に楽しくお祝いしてあげていました。
途中、私が息子の'失敗'体験を息子の心と頭に植えつけるような怒り方をしてしまいました。それによって、トイレトレーニングを投げ出しそうになった息子ですが、妻の応援に励まされ、すっかりトイレで自分で出来るようになりました。
今回のことを通しても、子どもの成功体験を、子どもの自信の糧になるように、褒めたり、一緒に喜んだりしてあげることの重要性を再確認させられました。
大人にとって当たり前のことを子どもができたとしても、大人は薄い反応で終わってしまいがちです。
子どもの立場に立ち、一緒に出来ないことが出来るようになるプロセスを踏んでいってあげることが大切ですね。
子育てに活かせるサッカー指導の原則: 適度な緊張感の維持
現在、我が家では息子のトイレトレーニング真っ最中。
月曜日からスタートし、今日で6日が経過しました。
ここまで徐々に成功率が上がってきています。
ただ、最初の頃はわりとよく失敗しました。
その度に私は、結構怒ってしまいました。。。
怒ればもっと成功するようになるかといえば、そうではありません。
しまいには、トレーニング途中で「もうパンツは嫌だ!オムツが良い!」と叫ばれました。。。
サッカー指導の原則の一つに「適度な緊張感の維持」があります。
簡単にいえば、(サッカーに限らず)スポーツのパフォーマンスは、緊張感がなさ過ぎても、あり過ぎても、下がってしまいます。
緊張のレベルが高過ぎると、力みや焦り、注意散漫などの状態に陥ってしまいます。反対に、低過ぎると、集中できずにミスを繰り返します。
大切なのは、適度な緊張感に選手を導くことです。
ここで詳しくは触れませんが、そのために色々な方法・手段を取ることができます。
息子のトイレトレーニング中に私が失敗したのは、まず息子に緊張感を与え過ぎたことです。
息子がお漏らしすることが怖い私は、2分に1回ぐらい「トイレ大丈夫?」と聞いていました。
そして、失敗した息子に向かって、怒ってしまったのです。
結果、息子は緊張感を感じすぎ、嫌になってトレーニングを放棄しようとしました。。。
スポーツの指導でも同じようなことがわりとよく起こるでしょう。
特に日本では、「恐れ」によって選手をコントロールしようとする指導者が多くいるように見受けられました。
選手に厳しく接し、「恐れ」を与えることで、良いプレーを引き出そうとするのです。
しかし、指導者の思惑とは異なり、選手が指導者を恐れれば恐れるほど、最高のパフォーマンスを発揮することは難しくなります。
子育てにおいても、例えば子どもが試験を受ける時に、親は子どもにあまりプレッシャーを与えすぎてはいけないでしょう。もちろん、子どもが怠けてるようであれば、緊張感を与える必要がありますが、恐れさせることによって、子どもをコントロールしようとしてはいけません。緊張感が高まり過ぎ、逆効果になります。
子どもが自分自身の能力を存分に発揮して生きるために、親にできることは子どもが適度な緊張感を持てるように助けることです。
トイレトレーニングで失敗しても、怒ってはいけません!(自分に言い聞かせます!)